- 伝えたい思いがたくさんあるからこそ、両手を広げて受け入れることが大切 -
好きだからといって詳しいとは限らない。知識量でいえばそんな状態ではじめました。マグカップやグラスについても、書籍や展示、人から得られる知識に、いつでも【気づき】があって新鮮な毎日です。
よくよく考えてみれば、好きなことに対する知識は自分の知りたいことを中心に吸収するタイプなので、かなり偏った知識な気がします。
ですが、それでいいと今は思います。
幸いにも自分が好きなものを紹介できる環境なので、自分が伝えたいことを最大限伝えるための知識があればいい。
わからないことは勉強不足と正直に言え、また学ぶことも大事。プライベートで話す相手だったり、ご来店された方だったり、教わることは山ほどでも、知ることが楽しくてしようがない。
教えてくれてありがとう。この言葉、人生の中で今が一番使っている気がします。
出会った新しいことの数だけ、また新しいことに出会うチャンスが生まれるのかなと感じています。
例えば画像のスリップウェア。いろいろなお店を見てきたつもりでしたが、初めて出会った感覚でした。技術としてこれを説明できたかというと、全然わかりませんでした。
その素晴らしさに魅入られ、歴史を知り、浅いながらもその独自性を知りました。しかし、知るほどに私が魅かれたのは技法そのものではなく、伝統技法用いて製作されたこの作り手の方の作品なのだと気づきました。この作品は開業当初に岐阜で出会った窯元さん作られており、いつも大変お世話になっています。
つい先日も直接伺い、まだまだ目にしていないものにたくさん出会いました。
作り手のご主人は、ずっとずっと陶器と向き合ってきた達人です。
それでも【何分、新しいことやけん、あんたたちの意見聞かせてくれ】と意見を求めてくださいます。いつでも挑戦して、今必要なことも大事だけど、これから必要なことが大事とおっしゃるご主人の言葉を受け入れるうつわは、どんなうつわよりも大きく、際限のないものなのだと思います。
今私は【ご主人の作ったうつわ】について話すのであれば、スラスラと言葉が出てきます。改めて思うのは【Nomu Dogu(ノムドグ)で伝えたいこと】の本質がここにあるということ。
〇〇の技法で作られ、〇〇の釉薬を使った〇〇の土のうつわです。
そうではなくて、自然溢れる陶芸の街で、一つの作品にご主人の素晴らしい技術に、奥さんのカップの把手の取り付け位置などの【使い勝手に対してのこだわり】が加わり、さらには窯元の刻印をうっかり忘れちゃううっかりご主人のお茶目さが加わって作られていること。そういったことを伝えた上でお気にいりにしてもらえたら嬉しい。
出会ったからこそのお話をNomu Dogu(ノムドグ)で体験していただけたら幸いです。
何かの達人というのは自分でいえることではなく、出会った人にそう思われてはじめて成ることだと思います。だから、私は一生縁がない言葉かもしれませんが、達人であるご主人のように両手を広げて多くの新しいことに出会い続けていきたいと思う次第です。
今回も長文ご一読ありがとうございました。
では、また次回。
欅の緑、桜のピンク、銀杏の黄色、そして活気溢れる音楽とお祭りの街・府中市。
京王線東府中駅から徒歩6分。お気に入り探しにどうぞお越しください。
Nomu Dogu(ノムドグ)
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